抄録
SCWO反応器材料の開発を目的とし,貴金属およびTi/IrO2-Ta2O5の腐食試験を塩酸環境下で行った.回分式装置による20 wt%塩酸環境の試験において,Irは300℃~600℃において耐食性を示した.Ti-Pdが活性溶解した300℃でもIrの腐食速度は1.8 mm/y以下であった.この腐食速度は,Rh(26 mm/y)およびRu(14 mm/y)と比べても優れていた.Ti/IrO2-Ta2O5の重量変化は観察されずTi-Pdに比べ優れた耐食性を示した.連続処理装置による試験で893時間後のTi/IrO2-Ta2O5のコーティングは550~580℃で剥離が観察された.400~450℃では剥離は生じなかった.550~580℃ではTiの酸化皮膜が100μm以上であったともにビッカース硬度は660~772であった.高温および長時間がTi基質の酸化皮膜の成長と脆化を引き起こしたと考えられた.Ti/IrO2-Ta2O5をSCWO反応器材料として550℃以上で使用するためにはTi基質の酸化皮膜の成長と脆化に関する検討が今後必要である.