材料と環境
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論文
塩酸を含有する超臨界水および亜臨界水酸化環境下における貴金属およびTi/IrO2-Ta2O5の腐食試験
大江 太郎岩森 智之安生 徳幸川崎 慎一朗鈴木 明大門 裕之藤江 幸一
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2007 年 56 巻 8 号 p. 367-372

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抄録
SCWO反応器材料の開発を目的とし,貴金属およびTi/IrO2-Ta2O5の腐食試験を塩酸環境下で行った.回分式装置による20 wt%塩酸環境の試験において,Irは300℃~600℃において耐食性を示した.Ti-Pdが活性溶解した300℃でもIrの腐食速度は1.8 mm/y以下であった.この腐食速度は,Rh(26 mm/y)およびRu(14 mm/y)と比べても優れていた.Ti/IrO2-Ta2O5の重量変化は観察されずTi-Pdに比べ優れた耐食性を示した.連続処理装置による試験で893時間後のTi/IrO2-Ta2O5のコーティングは550~580℃で剥離が観察された.400~450℃では剥離は生じなかった.550~580℃ではTiの酸化皮膜が100μm以上であったともにビッカース硬度は660~772であった.高温および長時間がTi基質の酸化皮膜の成長と脆化を引き起こしたと考えられた.Ti/IrO2-Ta2O5をSCWO反応器材料として550℃以上で使用するためにはTi基質の酸化皮膜の成長と脆化に関する検討が今後必要である.
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© 2007 公益社団法人 腐食防食学会
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