抄録
発電所における低圧蒸気タービンブレードでは,液滴衝突によるエロージョンが深刻な問題になっている.ブレード材料の寿命を評価するためには,エロージョン試験法における液滴の径,頻度および速度といった攻撃条件の検討が必要不可欠である.我々はウォータージェット法試験装置を用いて様々な試験条件における液滴の攻撃因子を検討した.また本研究においてキャビテーション試験法との比較を行った.その結果,キャビテーション法に比べてウォータージェット法は,攻撃条件が均一であるので損傷量評価に適していることが分かった.また,損傷深さ速度を体積損傷量に換算することで,高速領域で液滴衝突エロージョンが液滴の運動エネルギーに相関することを確かめた.さらに,得られた結果をもとに材料の損傷量推算のための基礎式を提案した.