抄録
ハイドロサルフェイトのグリーンラスト (GR) と,硫酸銅または硫酸ニッケルイオンとの反応を解析するために,X 線吸収微細構造 (X 線吸収端構造:XANES および拡張 X 線吸収微細構造:EXAFS) の測定を行った.Fe K 吸収端 XANES スペクトルから,GR 中の Fe(II) の一部が硫酸銅イオンの添加によって酸化し,硫酸ニッケルイオンの添加では変化しないことを示した.Cu K 吸収端および Ni K 吸収端の XANES スペクトルからは,硫酸銅イオンがゼロチャージの銅に還元され,硫酸ニッケルイオンは還元されないことがわかった.Fe K 吸収端 EXAFS スペクトルから求めた動径構造関数は,硫酸銅イオンが面心立方構造の金属銅に変化しており,硫酸銅ニッケルの局所構造は変化していないことを示した.過酸化水素水で酸化させた GR の XANES や EXAFS のデータについても検討した.