Zairyo-to-Kankyo
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論文
溶射皮膜上に塗装した重防食皮膜の耐食性
塗谷 紘宣島 貢石川 量大鈴木 紹夫北村 義治
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2009 年 58 巻 2 号 p. 64-70

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抄録

亜鉛,亜鉛-アルミニウム合金,およびアルミニウムの溶射皮膜上にポリウレタン樹脂塗料一層塗りで簡略化塗装した複合皮膜の耐食性を調べるため札幌および東京で12年間曝露試験を実施した.曝露後の試料は電気絶縁性試験,走査電子顕微鏡観察およびEPMA解析により評価した.簡略化塗装による試料は電気絶縁性がすでに失われているにもかかわらず,従来型の多層塗り塗装による試料よりもすぐれた耐食性を示した.基材からの鉄は溶射亜鉛層を通しての拡散の方が溶射アルミニウム層を通しての拡散よりも大きく,逆に塗膜を通しての環境側からの塩化物や硫黄の侵入は亜鉛層上の塗膜よりもアルミニウム層上の塗膜を通しての進入の方が大きかった.この現象は溶射金属層にはイオンの選択透過性があり,亜鉛は陽イオン選択透過性の傾向があることを示唆する.この複合皮膜に人工的にスクラッチを付与した皮膜欠陥部における防食は亜鉛溶射ではカソード防食効果により,アルミニウム溶射では酸化物による閉塞効果により達成されているように見える.塩化物や硫黄による大気の腐食性は東京よりも札幌の方が大きく,飛来塩分や大気汚染成分の影響が冬季季節風により,とくに積雪期間の長い日本海側の方でより大きくなることを示唆する.

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© 2009 公益社団法人 腐食防食学会
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