2009 年 58 巻 3 号 p. 99-104
腐食事例調査において,強制循環式給湯配管システムの銅管に発生する潰食は還管の継手部下流側にて多く発生した.この傾向は’96年の調査時と同一であった.潰食発生箇所では給湯水の溶存酸素の方が補給水のそれより高く,潰食は管内の圧力変化によって発生した気泡が関与しているものと考えられた.流体力学的解析および透明配管を用いた通湯試験装置での管内流動状態の観察から,ミクロンサイズの微細気泡の軌跡が潰食発生に影響を与えることを確認した.Young-Laplaceの式に従えば,気泡径が小さいほど気泡内圧は高くなり,気泡の合一や破泡も少なく気泡の状態で維持される.これらのことから,潰食は,微細気泡によって酸化皮膜やスケールが継続的に破壊されて進行するものと推定した.