材料と環境
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
論文
温湿度の季節変動を考慮した銀の腐食厚さの推定
南谷 林太郎大貫 朗松井 孝行
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 58 巻 4 号 p. 158-163

詳細
抄録
環境の腐食性を評価するために,温度と相対湿度の季節変動を考慮して銀の腐食損傷を評価する新しい方法を開発した.機械室環境で,電気抵抗式腐食センサによる銀の腐食厚さに加え,温度と相対湿度を同時期に測定した.これらの測定データに基づき,年間を通しての銀の腐食厚さの推定方法を検討した.まず1年間の機械室の温度を,最寄りの気象庁観測地点の温度の季節成分,機械室と気象庁観測地点の温度差,機械室の温度の不規則成分を積算して推定した.また1年間の機械室の相対湿度を,Sonntag式に機械室の推定温度と気象庁観測地点の絶対湿度を代入して推定した.つぎに腐食性ガス係数を,測定期間の銀の腐食厚さ,温度,相対湿度により決定した.さらに単位時間の銀の腐食厚さを,既に提案されている定常環境での銀の腐食の推定式に,腐食性ガス係数,推定温度,推定湿度を代入して算出した.これより年間を通しての銀の腐食厚さは,単位時間の銀の腐食厚さを積算することで推定された.本推定方法では,3カ月間の温湿度および銀の腐食厚さを測定することにより,1年間の銀の腐食厚さを±10%の精度で推定できる.
著者関連情報
© 2009 公益社団法人 腐食防食学会
前の記事
feedback
Top