Zairyo-to-Kankyo
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論文
TiAl系合金の酸化皮膜はく離挙動
吉原 美知子田中 悠片山 三郎
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2009 年 58 巻 5 号 p. 190-196

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抄録

2元系TiAl合金および多元系TiAl基合金を大気中で連続酸化し,酸化挙動および皮膜はく離挙動を検討した.Nb,TaあるいはWを含むTiAl基合金の酸化増量は2元系TiAlよりも小さいが,これはいわゆるドーピング効果によってTiO2の成長が抑制されるためである.またTiAl基合金の酸化皮膜密着性は2元系TiAlよりも良好である.合金上に生成する酸化皮膜の構造は合金組成によらずほぼ同じであるが,TiAl基合金では酸化皮膜/合金界面付近の連続性は2元系TiAlよりも高い.酸化増量と皮膜厚さから見積もった酸化皮膜の密度は緻密な酸化物が生成される場合の半分程度である.これは皮膜中に多量の空隙が存在することによる.合金の熱膨張係数は合金中の添加元素量が増加すると減少する.TiAl基合金の皮膜密着性が2元系TiAlよりも良好なのは皮膜界面付近の構造および熱膨張係数が小さいことによると考えられる.

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© 2009 公益社団法人 腐食防食学会
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