Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
論文
アノード分極法によるフレキシブルフラットケーブルのめっき層中のピンホール欠陥評価
中山 茂吉杉原 崇康細江 晃久稲澤 信二
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 59 巻 3 号 p. 70-74

詳細
抄録

アノード分極法を適用して,フレキシブルフラットケーブル(FFC)の導体部のめっき層を対象に,ピンホール欠陥の定量的な評価法を開発した.当該の導体部は,銅基板上へのニッケルめっき及び仕上げ用の金めっきにより,Cu|Ni|Auといった3層構造をとる.製品の品質保証の観点から金めっき層のピンホー欠陥の計測条件を検討した結果,5 Mの硫酸を電解液としたアノード分極法により,定量的に0.05%程度までのピンホール欠陥率を評価できた.金めっきを厚くするとピンホールは減少する一方,コスト面の問題が生じる.ただし金めっきが薄くとも,下地ニッケルめっきの品質を高めると金めっき層のピンホールも減少する.そこでニッケルめっきの品質改善の指標を得るために,金めっきを施す前の“素材”(Cu|Ni)に対しても,ピンホール欠陥の計測条件を検討した.硫酸溶液中では,下地の銅よりもニッケルの溶解反応の方が起こりやすく,ピンホールの評価はできなかった.電解液を見直した結果,7 M KOH中でアノード分極測定を行うことによって,ニッケルの妨害を受けずに,ニッケルめっき層の0.01%レベルのピンホール欠陥率を定量化できた.

著者関連情報
© 2010 公益社団法人 腐食防食学会
前の記事 次の記事
feedback
Top