材料と環境
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59 巻, 3 号
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展望
論文
  • 中山 茂吉, 杉原 崇康, 細江 晃久, 稲澤 信二
    2010 年59 巻3 号 p. 70-74
    発行日: 2010/03/15
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
    アノード分極法を適用して,フレキシブルフラットケーブル(FFC)の導体部のめっき層を対象に,ピンホール欠陥の定量的な評価法を開発した.当該の導体部は,銅基板上へのニッケルめっき及び仕上げ用の金めっきにより,Cu|Ni|Auといった3層構造をとる.製品の品質保証の観点から金めっき層のピンホー欠陥の計測条件を検討した結果,5 Mの硫酸を電解液としたアノード分極法により,定量的に0.05%程度までのピンホール欠陥率を評価できた.金めっきを厚くするとピンホールは減少する一方,コスト面の問題が生じる.ただし金めっきが薄くとも,下地ニッケルめっきの品質を高めると金めっき層のピンホールも減少する.そこでニッケルめっきの品質改善の指標を得るために,金めっきを施す前の“素材”(Cu|Ni)に対しても,ピンホール欠陥の計測条件を検討した.硫酸溶液中では,下地の銅よりもニッケルの溶解反応の方が起こりやすく,ピンホールの評価はできなかった.電解液を見直した結果,7 M KOH中でアノード分極測定を行うことによって,ニッケルの妨害を受けずに,ニッケルめっき層の0.01%レベルのピンホール欠陥率を定量化できた.
  • 八代 仁, 明 承澤, 鈴木 映一, 小山田 哲也, 藤原 忠司
    2010 年59 巻3 号 p. 75-79
    発行日: 2010/03/15
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,新しく開発した磁性腐食プローブを用いてコンクリート内の腐食性環境を非破壊的に評価することである.プローブは銅棒上に鉄をめっきして調製され,さらに残留磁化を安定化させるために423 Kで30分間熱処理された.プローブの残留磁化は超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いて計測され,その腐食とともに減少した.飽和Ca(OH)2溶液中における磁性腐食プローブの電気化学的挙動も評価された.めっき直後のプローブは大きな活性溶解電流密度を示し,残留磁化も大きかった.これを熱処理すると活性溶解電流密度は小さくなり,残留磁化も減少した.一方,プローブの不動態保持電流密度は熱処理後も鉄棒と比較すると大きいままだった.このことは,腐食環境に対する本プローブの感度が鉄筋よりも高いことを意味する.このように,開発したプローブを用いることによって,鉄筋の腐食に先んじてコンクリートの環境劣化を磁気的に捉えることができると期待される.
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