2011 年 60 巻 12 号 p. 532-534
本論文は,原子力冷却材環境下における応力腐食割れき裂進展モデルの新たなアプローチについて報告する.多くの応力腐食割れ試験が1970年代より実施されてきた.一部のき裂進展速度は,広範囲にばらついていることが観察されている.既に報告されているき裂進展メカニズムは広範囲の応力拡大係数における予測に集中している.多くの実験結果のレビューにもとづき,応力-材料の組み合わせからなる力学系および材料-環境の組み合わせからなる化学系が協調・協同し連成するき裂成長モデルを提案した.連成は,2つの系に共通して存在する材料の状態が時系列的に2段階で遷移することにより生じる.新たな提案による方法の場合,応力腐食割れき裂進展過程において複数の律速段階の存在が可能となり実験で観察されているばらつきの説明が可能となる.