材料と環境
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論文
濃厚臭化リチウム水溶液中の炭素鋼の耐食性に及ぼす表面性状の影響
山中 秀文野中 英正
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2011 年 60 巻 2 号 p. 87-93

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抄録
吸収冷温水器の再生器に使用されている炭素鋼に関して,その初期の表面状態やエージング時の昇温速度が腐食に及ぼす影響について検討するために,濃厚臭化リチウム水溶液中において,炭素鋼の電気化学試験を行った.エージングとは吸収冷温水器の起動時にインヒビターとして不動態化剤を含む臭化リチウム水溶液中で加熱することで,部材を不動態化するための工程である.
その結果,炭素鋼の表面に存在する黒皮の欠陥部に,ある程度以上の深さをもったさびが存在する場合や,金属と金属のすき間部が存在する場合は,それらの部位と健全な黒皮部とのマクロセルが,エージング時もしくはその後においても継続して形成される可能性があることがわかった.
一方,エージング時の昇温速度が小さいほど,上述で示したマクロセル電流が大きくなり黒皮の欠陥部の腐食量が大きくなる可能性があることが分かった.
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© 2011 公益社団法人 腐食防食学会
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