Zairyo-to-Kankyo
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論文
模擬AVT水中におけるボイラチューブ鋼の生成皮膜特性と耐食性評価
中根 孝浩牛 立斌高久 啓大石 修治
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2011 年 60 巻 5 号 p. 265-270

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抄録

高温の模擬AVT水中において火力発電プラントボイラチューブ鋼上に生成した皮膜をX線回折(XRD)およびX線光電子分光法(XPS)を用いて分析した.また,Clを添加した模擬AVT水中において電気化学腐食試験を行うことで生成した皮膜の耐食性を評価した.
598 Kの模擬AVT水中においてSTB410鋼およびSTBA24鋼では,マグネタイト(Fe3O4)皮膜の生成が確認され,塩化物イオン(Cl)に対し,良好な耐食性を示した.これらの傾向はマグネタイト結晶の成長の抑制や密度の改善に起因すると推察される.
一方,SUS304鋼では,Fe酸化物およびCr酸化物の複層皮膜が生成し,それらの皮膜の耐食性は,室温で生成する皮膜に比べて低下することが明らかとなった.高温において生成する皮膜は,Crの部分的な偏析のために引き起こされる局部電池の形成によって不安定であったと推察される.

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© 2011 公益社団法人 腐食防食学会
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