抄録
本研究では,MgCl2水溶液中における鋭敏化304ステンレス鋼の局部腐食発生および腐食ピットからき裂への形態変化におよぼす応力の影響が調査された.予ひずみを印加した試験片のアノード分極曲線測定,電位および無負荷-負荷試験片の短絡電流ノイズ測定を行った.アノード分極曲線の結果から予ひずみを与えた試料で局部腐食発生が促進されることが明らかになった.また,電位ノイズおよび短絡電流ノイズの測定から,2 M MgCl2溶液中においては,局部腐食の発生は,応力の印加された試験片上で促進されることが示された.さらに,成長性の局部腐食が生じている状況で,応力が印加されると,局部腐食の形態がピット状からき裂状の溶解痕に変化することが示された.