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論文
亜鉛めっき鋼板表面のフェノール樹脂の耐食性に及ぼす焼付け温度およびリン酸添加の影響
迫 良輔酒井 潤一
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2012 年 61 巻 10 号 p. 402-409

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抄録

クロメート代替原料としてフェノール樹脂の皮膜形成と耐食性について検討した.樹脂の示差熱分析,皮膜の表面エネルギー測定,XPS,FT-IRを用いた皮膜特性解析を実施して亜鉛めっき鋼板上での皮膜形成のメカニズムと耐食性に及ぼす焼付け温度とリン酸添加の影響を明確にした.また,皮膜の分極測定結果から耐食性のメカニズムを推定した.
80℃では凝集状態の樹脂が,熱エネルギーによってほぐれながら130℃以上の温度で自己架橋して緻密な皮膜を形成し,形成された皮膜は良好な耐食性を示すことがわかった.また,樹脂水溶液にリン酸を添加すると自己架橋温度以下の120℃焼付けでも良好な耐食性を示した.リン酸は樹脂の架橋を促進しており,また皮膜中に不溶化して取り込まれていることが確認された.
架橋反応によって形成された緻密な皮膜がアノード反応とカソード反応を抑制し,さらに皮膜に取り込まれたリン酸がさらなる腐食抑制に働いたと考えられる.

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© 2012 公益社団法人 腐食防食学会
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