鋼構造物の腐食環境は,その部位レベルで著しく異なる場合が少なくない.したがって,鋼構造物を経済的に維持管理するためには,各部位レベルの腐食環境を適切に評価した上で,腐食損傷の進行性を予測する必要がある.本研究では塗装鋼構造物の部位レベルの腐食性を対象部位に設置した無塗装普通鋼板の平均腐食深さを用いて総合評価する手法に着目した.そのために,腐食環境が著しく異なる4地点で無塗装普通鋼板の大気暴露試験を実施した.この暴露試験結果に基づき,対象部位に設置した無塗装普通鋼板の腐食生成物層の厚さから,腐食生成物を除去することなく,平均腐食深さを推定する実用性の高い手法を提案した.また,その環境における鋼部材の塗膜劣化後における腐食深さの経時性を評価する手法を提案した.