抄録
44ヶ月間実施した長期屋外ばくろ試験における外装建材用プレコート鋼板の耐食性は,上塗り塗料の膜厚,下塗り防錆顔料種,及び付着塩分量の影響を大きく受けていることが確認された.促進条件での耐食性評価として一般的に実施されている塩水噴霧試験及びCCT-JASO-M609による試験結果は,実際の屋外ばくろにおける試験結果と何ら相関性を示さなかった.エッジクリープ部断面を観察した結果,屋外ばくろ試験とこれらの促進試験とでは,腐食進行メカニズムが異なることが明らかとなった.これらの促進試験は,腐食生成物による防食効果が発現しにくい試験条件で実施されるため,屋外ばくろ試験の場合に比較して,めっき及び鉄からなる犠牲防食電池による防食効果が長期間継続することがその原因ではないかと推定している.