材料と環境
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速報論文
塩化物イオンの橋梁桁内への供給量と洗い流し量から算出した平均滞留時間
武邊 勝道後藤 和也大屋 誠広瀬 望
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2013 年 62 巻 11 号 p. 420-425

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抄録
鋼橋を取り巻く腐食環境を表す指標としては,飛来塩分量が広く用いられている.しかし,塩分が鋼板面上にとどまる程度こそが腐食に直接作用すると考えられる.そこで,本研究では,塗装橋梁の桁内鋼板面へのCl付着速度と結露水によるCl洗い流し速度を分析し,Clの桁内鋼板面上の平均滞留時間を解析した.1か月間または3か月間暴露した鋼板面から得られた平均滞留時間は19~700日であり,冬期~春期に長く,夏期~秋期に短い.このことは,桁内ウェブ面で,冬期~春期にClが蓄積し,夏期~秋期には洗い流されることを示している.1年間暴露した鋼板面からは,250日の平均滞留時間が算出された.このことは,鋼板面上のClが1年以内に置き換わることを示すと考えられる.
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© 2013 公益社団法人 腐食防食学会
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