抄録
建築設備配管系において,ステンレス鋼および銅・銅合金と接続された亜鉛めっき鋼や鋼には異種金属接触腐食が発生する.しかし,配管口径の大きさが異種金属接触腐食に及ぼす影響については理論的に,また実態としても十分把握されていない.今回,配管口径の異なる4組のガルバニック対配管(SUS304/亜鉛めっき鋼)を設備配管系(特に空調配管)を模擬したル-プ循環装置に組み込み実験を行った.配管口径の増加とともにガルバニック電流が配管内径比以上に増加するが,アノード面積も増加するため電流密度は増加しないと考えられる.配管口径が大きい配管では配管厚さが増すことを考慮した場合,配管口径の大きい配管が配管口径の小さい配管に比べて異種金属接触腐食により配管接続部の穿孔が加速される可能性は低いと考えられる.