抄録
ギ酸濃度が銅の腐食に及ぼす影響を調べるため,濃度1~10000 mg/L ギ酸溶液中に銅管を最長84日間浸漬した.試験溶液中の銅イオン濃度を測定し,銅溶出速度を求めた.1~1000 mg/L ギ酸溶液中の銅イオン濃度はある一定値に飽和する一方,5000,10000 mg/L ギ酸溶液中の銅イオン濃度は浸漬日数の増加とともに上昇する.84日間浸漬後の銅管に発生した腐食の形態は,1~1000 mg/L ギ酸溶液の場合は蟻の巣状腐食であり,5000,10000 mg/L の場合は全面溶解であった.試料の重量減は溶液のギ酸濃度が増すにつれて増加する傾向を示した.