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論文
温水環境におけるステンレス鋼の応力腐食割れ発生に及ぼす温度および水質成分の影響
斎田 知明佐藤 克明黒田 健介興戸 正純
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2013 年 62 巻 6 号 p. 224-230

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抄録

温水環境における耐応力腐食割れ(SCC)性向上のためSi,Cuを複合添加したSUS315J1が開発され実用化されている.しかし,近年,温水機器の設定温度は100℃近くまで上昇する傾向にある.さらに,温水中には様々なアニオン種が含まれているが,SCCに対するこれらの影響については明らかでない.
SUS304,SUS315J1,SUS316およびSUS444冷延鋼板の耐SCC性を,60,95および125℃の200 mg/L Cl溶液へのスポット溶接試験片の浸せき試験により評価した.SUS315J1は,95℃以下の温度においてSUS 304やSUS 316に比べて耐すきま腐食性および耐SCC性に優れていた.
SCCに対する各種アニオン(NO3,SO42-,CO32-およびHCO3)の影響について,200 mgL-1 Cl溶液への浸せき試験および電気化学測定により検討した.一般に腐食抑制剤として作用するこれらアニオン種を微量添加した場合,SCCに対して逆に促進作用を示すことがわかった.しかしながら,これらのアニオンを含む溶液においても,SUS315J1ではSCCを生じにくい傾向にあった.

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© 2013 公益社団法人 腐食防食学会
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