抄録
ワイヤーケーブルの健全性診断のための基礎的検討として,ワイヤーケーブルを伝搬する弾性波の特性を調べた.引張荷重が負荷されていないワイヤーケーブルを伝搬する弾性波をウェーブレット変換し,群速度分散を調べた結果,素線・ワイヤーケーブルと同径の丸棒のいずれの理論群速度分散曲線とも一致しなかった.引張荷重を負荷したワイヤーケーブルで同様の実験を行った結果,2つの波束を有する波形が検出された.検出波の振幅は荷重が増加するほど大きくなったが,増加割合は波束ごとに異なっていた.また,検出波は負荷荷重が増加すると,後半の波束の分散はワイヤーケーブルと同径の丸棒のF(1,1)モードの理論群速度分散曲線と一致することがわかった.