銅の蟻の巣状腐食に及ぼす溶存酸素の影響を調べるために,溶存酸素濃度を変化させた100 mg/Lギ酸溶液中に銅管を最長84日間室温下で浸漬する試験を行った.溶存酸素濃度8.4,14.3 ppmのギ酸溶液中に浸漬した銅管には蟻の巣状腐食が発生したが,溶存酸素濃度2.1 ppmのギ酸溶液中に浸漬した銅管には腐食が観察されなかった.溶存酸素濃度2.1 ppmギ酸溶液中に浸漬した試料の重量減は,溶存酸素濃度8.4,14.3 ppmのギ酸溶液に浸漬した試料の重量減よりも極端に低くなった.浸漬試験の途中で溶存酸素濃度を低減すると試料の重量減増加が抑制された.以上より,溶存酸素が蟻の巣状腐食の発生・進展に寄与することが明らかとなった.