抄録
H2S-NO2-SO2-Cl2環境での銀に対して,新しい大気腐食メカニズムを提案した.銀の大気腐食は,環境中の硫化水素H2Sが二酸化窒素NO2により酸化され生じた還元性硫黄S8による化学反応,この反応で余剰したH2S,NO2が溶解した銀表面の水膜中での電気化学反応により進行する.大気腐食メカニズムに基づき,温湿度,汚染ガスとしてH2S,NO2,Cl2をパラメータに,銀の腐食速度式を提案した.この速度式を公開されている銀の腐食データ110件に適用して,腐食ガス試験環境,実暴露試験環境における銀の大気腐食速度は2倍以内の誤差で推定された.