BWR模擬環境中における非鋭敏化材の応力腐食割れ(SCC)感受性に及ぼすCr,Niの影響を調べた.SCC感受性の評価には静的ひずみ試験としてすき間付き4点曲げビーム試験と,動的ひずみ試験として低ひずみ速度試験(SSRT)を行った.その結果,Crはいずれの試験においてもSCC抑制に対して有効であり,その効果は顕著であった.一方Niは動的ひずみ試験においてSCC抑制に有効であったが,静的ひずみ試験における影響は明確ではなかった.Crの作用について,耐SCC性保護皮膜形成の観点から,ひずみ電極測定及び腐食生成物解析により調べたところ,Cr量の増加とともに,皮膜修復能が向上した.腐食生成物中の内層側に生成するCr濃化酸化物中Cr濃度が増加することから,Crが濃化した皮膜を形成して,耐SCC性を向上させると考えられた.