定電位保持したステンレス鋼のすきま腐食進展挙動を明らかにするために,試験直前に研磨をおこなったガラスすきま付き試験片を用いて常温の人工海水中でE=299 mV,399 mVおよび499 mV(SHE)の定電位試験とすきま内の画像観察を連動させた実験をおこなった.その結果,目視観察できたすきま腐食発生時間tVIはこれまで簡易的に求めていたtINCUと非常に良い一致を示した.また,すきま腐食が発生した時点を起点としてVCREVやACREVの時間変化挙動を検討した.ACREVは時間経過とともに指数関数的な増加を示すが,VCREVは,すきま内に広がったすきま腐食部位がすきま部縁下に到達する時間tRを境にしてその前後の時間領域で挙動が大きく異なることを見出した.それゆえ,tRに達する前の時間領域をRegion Ⅰ,tRに達したあとの時間領域をRegion ⅡとしてそれぞれVCREVおよびACREVの挙動を解析した.その結果,VCREVの時間に対する増加割合は,すきま内部よりもすきま縁下の方が大きいが,ACREVの増加割合はすきま内部の方がすきま縁下より若干大きくなることが明確になった.