2015 年 64 巻 6 号 p. 224-227
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と純アルミニウム1050とが接することで生じるガルバニック腐食について電気化学的測定により調査した.1050とCFRP積層板との間を流れるガルバニック電流を無抵抗電流計により7日間室温下で測定した.試験期間中,CFRPから1050へ流れたガルバニック電流は約2500~3500 μA/cm2であった.CFRPと短絡していない1050のガルバニック試験後の重量減がほぼゼロであるのに対し,CFRPと短絡した1050の重量減は207 mg/cm2であった.1050をCFRPプリプレグとじかに接触させて84日間3.5 wt% NaCl溶液中に浸漬したときの重量減は,1050どうしを接触させて浸漬したときの約60倍となった.これらの結果より,NaCl溶液中で1050がCFRPと接触すると1050の腐食が加速されることが明らかとなった