低線量率での塩化物水溶液中での炭素鋼の腐食挙動を,500 Gy/hのガンマ線照射下で塩化物イオン濃度の異なる塩化物水溶液を用いた腐食試験により調査した.照射により腐食速度は増大し,腐食速度が極大となる塩化物イオン濃度が存在した.腐食速度増大には塩化物水溶液の放射線分解で生成する酸化性化学種が関与していた.主な酸化性化学種は酸素と過酸化水素であり,放射線下での炭素鋼の腐食は酸素と過酸化水素の拡散過程に支配されていた.腐食速度の塩化物イオン濃度依存性と酸化性化学種濃度の塩化物イオン濃度依存性には良い対応関係が認められた.