2015 年 64 巻 9 号 p. 405-413
高炉スラグ微粉末の混合によって,コンクリートの塩化物イオンの浸透抑制は大幅に改善されるものの,内部鋼材が腐食する可能性は残るため,鋼材の腐食環境を監視・予測する技術の確立は重要である.本研究は,①実環境に曝された高炉スラグ微粉末6000を混合したコンクリートの耐久性の検証および②鋼材の腐食環境を監視・予測できるシステムの構築が目的である.①では,3年曝露した試験体から求めた塩化物イオンの見掛けの拡散係数は,コンクリート標準示方書で示される拡散係数の予測式の第3項を-1.0とした曲線に近い結果が得られた.②では,埋設したセンサのデータ収録とデータの遠隔操作を一体化させた新たな計測システムを構築した.構築したシステムを用いれば,腐食センサの自然電位の経時変化データの取得が可能となり,鋼材の腐食環境を常時監視することが可能である.