抄録
空調機器用銅管で観察されている蟻の巣状腐食のメカニズムを明らかにするため電気化学的実験を行った.この腐食発生には湿気や酸素とギ酸などの条件が必要であることが指摘されている.腐食電位や溶液pHに関する実験が102 ppmギ酸水溶液で約1か月実施された.蟻の巣状腐食を構成する反応が熱力学的に示され,そして腐食初期と腐食定常状態の二つに分けて考察された.分極抵抗曲線による研究から,蟻の巣状腐食を構成する反応はアルカリ雰囲気で重要な役割を演じ,そして構成反応種はすべて速い系の特徴を示すことが示された.またこの孔食発生はリン脱酸銅だけでなく無酸素銅にも発生することが指摘された.