Zairyo-to-Kankyo
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論文
空調機銅製熱交換器を流れる冷却水の水質解析による銅配管の腐食診断
星 芳直越智 健太郎四反田 功板垣 昌幸関口 恭一平田 陽一菱沼 崇
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キーワード: , 孔食, 冷却水, 淡水
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2016 年 65 巻 3 号 p. 88-94

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抄録

全国各地の吸収式冷凍機を用いた大型空調システムを流れる冷却水をサンプリングし,熱交換器における銅配管の孔食発生の傾向を検討した.サンプリングした冷却水の水質(pH,酸消費量,全硬度,塩化物イオン,硫酸イオン)解析を行い,各々の水質パラメータで構成される二次元図を作製した.その結果,酸消費量が銅の孔食発生に強く起因していることが明らかとなった.本研究では,銅の孔食診断におけるスクリーニング精度を飛躍的に向上させるため,酸消費量,pH,全アニオンに対する攻撃性アニオン(重炭酸イオン,塩化物イオン,硫酸イオン)により構成される三次元図を作製した.この三次元図によりサンプリングした冷却水を解析することにより,孔食発生が確認された危険水および孔食発生が確認できなかったまたは不明な水を精度良く分離できることが明らかとなった.さらに,腐食性を有する冷却水の模擬試験水を作製し,三次元図により銅の腐食診断を行った.腐食性を有する模擬試験水は,作製した冷却水の模擬試験水中において銅のアノード分極曲線を測定することで調整した.また,銅のアノード分極曲線測定後の電極表面を光学顕微鏡により観察することで,銅の腐食状態を明らかにした.腐食性を有する模擬試験水を三次元図により解析した結果,銅の孔食診断の結果と銅の表面状態が良い一致を示した.したがって,熱交換器における銅配管の腐食診断に本研究で提案する三次元図解析を適用することで,銅の腐食性を有する冷却水を高い確率でスクリーニングできると考えられる.

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© 2016 公益社団法人 腐食防食学会
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