Zairyo-to-Kankyo
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総合論文
3種類の自己組織化膜の化学修飾によって作製した超薄二次元重合膜による金属および酸化された金属の腐食防止
荒牧 國次志村 正
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2016 年 65 巻 3 号 p. 95-102

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抄録

3種類の自己組織化膜(SAM)を金属および酸化された金属上に作製した.それらはCuやFe上に化学吸着したアルカンチオールSAM,Fe-C共有結合の生成によってFe上に吸着したベンゼン誘導体SAMおよび不動態化Feや水和したCe2O3層で覆ったZn上に化学吸着したカルボン酸イオンSAMである.超薄(厚さnmオーダー),配列が規則正しい(自己組織化)そして分子間結合した(二次元重合膜)保護皮膜を金属および酸化された金属上に吸着したこれらのSAMをシランカップリング剤によって化学修飾して作製した.本報では,酸素を含む中性水溶液中における下地金属の腐食と不動態皮膜破壊に及ぼすこれらの皮膜の保護効果をまとめる.大気開放0.5 M Na2SO4中におけるCu腐食に対するアルカンチオールSAMから作製した二次元重合膜の防止率は浸漬時間1 hにおいて99.3%と非常に高かったが,20 h後には著しく低下した.Fe上のベンゼン誘導体SAMから作られた重合体皮膜は長時間の浸漬後もFe腐食を防止した.不動態皮膜が破壊されない限り,不動態化Fe電極上のカルボン酸イオンSAMの二次元重合膜は完全にFe腐食を防止した.

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© 2016 公益社団法人 腐食防食学会
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