抄録
本研究は大気腐食環境下における21Crフェライトステンレス鋼の食孔深さに及ぼすNiの影響を明らかにすることを目的とした.1,3,6,12,18か月間の大気曝露試験を行った.大気曝露後に各食孔の深さをレーザー顕微鏡で測定した.その結果,推定最大食孔深さは1.5 mass% Ni添加により浅くなった.孔食電位測定,アノード分極測定,自然浸漬電位測定を行ったところ,Niは孔食電位に影響を及ぼさなかったが,活性溶解を抑制し,再不働態化を促進した.これら電気化学的要因により食孔深さが浅くなったと考えられる.