2016 年 65 巻 9 号 p. 369-371
超臨界CO2環境下での13%Cr鋼の腐食挙動の検討結果を中心に,ステンレス鋼の既往の検討結果をまとめた.13%Cr鋼の腐食度に与える超臨界CO2の影響はガスCO2と同等または小さくなった.圧力20MPa以上の超臨界CO2の場合は孔食を発生させやすかった.超臨界CO2に45kPa O2が存在するとすきま腐食が認められたが,4.5kPa O2ではMoを添加した低炭素鋼のB鋼ですきま腐食は認められなかった.B鋼は超臨界CO2環境のすべての試験でもCO2ガス環境と同様にMoが無添加のA鋼に比べ良好な耐食性を示した.加えて,そのほかのステンレス鋼を用いた試験やNO2,SO2などの不純物の影響,超臨界CO2環境そのものに関する検討状況について文献をレビューし,解説する.