2017 年 66 巻 11 号 p. 357-360
乾湿繰り返し腐食試験を用いて,きず(0 mm2, 0.3 mm2 and 1.5 mm2)を形成したZnめっき鋼板からの水素透過挙動を調査した.きずの面積に関係なく,腐食試験中に同じような形状を有する水素透過電流が測定された.試験終了後,試験片表面には白色の腐食生成物が生成した.水素透過電気量は3サイクルまで増加し,その後減少した.きず周辺の腐食生成物は,塩基性塩化亜鉛であった.このことから,長期間の腐食試験で水素透過電気量が減少するのは,この腐食生成物の形成によることが示唆された.3サイクルまでの水素透過電気量ときず面積の比較から,発生した水素はきず部から均一に鋼中に侵入しないことが示唆された.