材料と環境
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論文
東京電力株式会社福島第一原子力発電所への海水及び/又は淡水の注入に伴う使用済燃料プールの水質変化挙動解析
小澤 正義明石 正恒
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2017 年 66 巻 2 号 p. 62-70

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抄録

海水及び/又は淡水が注入された東京電力福島第一原子力発電所の使用済燃料プールのpH,Cl濃度及び電気伝導率κの測定結果から,炭素鋼などの腐食に影響するSO42-及びHCO3の濃度を解析により推定した.

淡水が注入された1F1において,Cl濃度の測定値とSO42-濃度並びにHCO3の濃度の推定値から電気伝導率κが精度よく推定された.海水が注入された2号機から4号機においてpH測定値が推定値を上回った.Feの溶解反応,H4N2の解離,及びH4N2の分解によるNH3の生成のいずれの要因も単独では高pHの原因となり得ないと評価された.

コンクリートがれきが混入した3号機の使用済燃料プール水には,浄化処理期間中がれきからCa2+濃度が継続的に供給されていたと推定された.

解析結果から推定した水質を自己不働態化指数SPIにより評価した結果,1号機及び浄化処理終了後の2号機から4号機についていずれの水質も炭素鋼の自己不働態化が達成される環境にあると評価された.

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© 2017 公益社団法人 腐食防食学会
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