大気腐食は,電解質水溶液膜下でのみ進行する電気化学的プロセスである.雨は,ぬれ時間を引き起こし,大気中の化学種を金属表面に輸送することで腐食を促進する,主要な因子である.本研究では,降雨と化学種の影響を受けた場合の大気腐食挙動を明らかにすることを目的として,人工降雨装置が開発された.センサ出力と腐食速度(CR)との関係を通して降雨水溶液の腐食性を調べるために,Fe―Ag 対からなるAtmospheric Corrosion Monitoring(ACM) センサが使われた.降雨速度とその分布が制御可能であるため,腐食挙動への降雨の影響を調べることが容易であった.センサ出力とCR との関係から大気の腐食性を推定できる.したがって,開発された人工降雨装置は,雨の影響のもとでの腐食挙動を研究するために,本質的で信頼性の高い装置であると言える.