2018 年 67 巻 1 号 p. 27-32
経年劣化した鋼構造物に対する新しい塗り替え工法を確立するために,素地調整が不十分で錆が残存した状態に塗装された際の塗装防食性について検討した.沿岸にて暴露した錆鋼板に対し,素地調整方法を変えることで,表面の特性と塗装による防食性の関連について検討した.塗装防食性は残存塩分量や残存錆厚みでは説明できなかった.サイクリックボルタンメトリーから導かれた電気化学特性と,レーザー変位計から解析した凹凸情報が,錆残存面上における塗装防食性に大きな影響を与えることを明らかにした.