2018 年 67 巻 5 号 p. 211-215
CAC905は,2016年にJIS登録された鉛フリー青銅合金であり,その中に15%Zn-2.5%Snを含有する.本研究では,塩水サイクル試験(CCT),塩水噴霧試験(SST)および脱亜鉛腐食試験を行い,CAC905の耐食性を評価し,鉛入り青銅CAC406と比較した.その結果,CAC905はCAC406と同等以上の耐食性を有することがわかった.また,CAC905において,脱亜鉛腐食は観察されなかった.分極試験では3 mass%NaCl水溶液におけるCAC905の分極曲線はCAC406と類似しており,CAC905とCAC406の耐食性がほぼ同じであることが示唆された.この結果は,腐食試験の結果と一致している.240時間CCTを実施した後のCAC905表面でSEM/EDSならびにXRD分析を行った結果,亜鉛腐食生成物が析出し,アノード反応を抑制した可能性があると考えている.