ギ酸銅および酢酸銅溶液中で発生する蟻の巣状腐食について調べるため,リン脱酸銅管および無酸素銅管の浸漬試験を行った.浸漬試験に用いた溶液の濃度は0.001,0.01,0.01 mol/Lの3水準とした.浸漬開始から28,56,84日後に試料を試験水から引き上げ,光学顕微鏡およびSEMにより断面観察を行った.0.001,0.01,0.1 mol/Lギ酸銅溶液に浸漬したリン脱酸銅管,無酸素銅管のいずれにも複雑に枝分かれした食孔を有する典型的な蟻の巣状腐食が発生した.一方,酢酸銅溶液に浸漬したリン脱酸銅,無酸素銅管には,溶液濃度が0.1 mol/Lのときにのみ,半球状の単一食孔が発生した.ギ酸銅および酢酸銅溶液中に浸漬した銅管に発生した腐食孔をSEMで観察することにより,いずれの腐食孔も金属銅が細かな網目状に浸食されていることが明らかとなった.