研磨ままのSUS304セパレータを組み込んだPEFC単セルを定電流負荷状態(0.5 A cm-2)で発電したところ,発電開始から430 h時点で電圧降下により発電不能となった.このときのセパレータ表面の腐食生成物をSEMおよびXPSで,セパレータのリブ部と接触していたGDL表面の汚染状況をEPMAで評価した.カソード側セパレータの表面には鉄酸化物主体の腐食生成物が堆積しており,これと接触していたGDL表面からはほぼ鉄のみが検出された.このことは,生成水中に溶解したクロムおよびニッケル成分はセル外に排出されたのに対して,鉄は3価に酸化されることによりセパレータおよびGDL表面に析出したことを示唆している.一方で,アノード側セパレータと接触していたGDL表面からはクロム,鉄,ニッケルすべての成分が検出されたことから,SUS304の活性溶解が示唆された.