2021 年 70 巻 12 号 p. 402-408
使用済燃料プールへの海水の注入は,燃料集合体を支える燃料ラックとバウンダリーとしての機能を持つプールライナーの腐食のリスクを高める.アルミニウム合金製ラックとステンレス鋼製ライナーの導通により,ラックの異種金属接触腐食が懸念され,一方,ライナー側は防食される可能性がある.境界要素法解析によって,これらのマクロセル挙動を考察した.冷却水の導電率が高くかつ微生物の影響を考慮する場合,ラックに最大数mm/yの腐食増が予測されたが,導電率の低下によって腐食は大幅に低減した.ラックの健全性を維持するために,水質浄化による導電率低減および微生物対策が重要であることが定量的に明らかにされた.