2021 年 70 巻 12 号 p. 436-440
福島第一原子力発電所(1F)の格納容器(PCV)内において,潜在的な課題となり得るガンマ線照射環境下における喫水部腐食を対象として,実験により腐食挙動の把握ならびに予測に資する腐食データを取得した.当該環境を模擬した腐食試験により,水膜効果と照射効果が重畳することで腐食が加速されることが明確に示された.腐食加速機構の観点からは,喫水部では雰囲気からの酸素供給が顕著であること,そのため水の放射線分解によって生成される過酸化水素の濃度が高くなること,の両方が寄与したと考えられた.