すきま腐食の発生,進展メカニズムを最新のin-situ機器を使って検討してきた結果の総合論文である.In-situ測定は腐食挙動の直接観察,半導体センサによるpH測定,ラマン散乱分光による錯体測定である.すきま腐食はその進展挙動からStage I~Stage IVの4段階に分けることができる.いずれもすきま内における水和,錯体形成(加水分解およびクロリド錯イオン)と密接な関係があることを明確にした.また,再不働態化がすきま内での水素発生をカソード反応とする腐食によるpH上昇に基づくことを明らかにした.発生は準安定孔食が起因となっていることも明確化した.
これらの結果に基づき再不働態化電位測定および自然電位を進展速度に変換する試験法を提案した.発生についてもすきま腐食発生下限界電位を判定できる測定法の可能性を示した.