2022 年 71 巻 4 号 p. 116-120
鋼棒における水素脆化の危険性を評価するために,表面近傍の水素濃度を知ることは重要である.電気化学的水素透過法は鋼材の表面水素濃度を測定する方法で,その供試体形状は板状が対象であり,鋼棒(棒材)へ適用はできない.一方で鋼棒表面には製造過程で生じる酸化鉄や加工ひずみなどが存在しており,水素透過性に影響を与えうるため,鋼棒自身を評価する必要がある.今回,鋼棒に対する電気化学的水素透過法,及び得られたデータを解析するためのシミュレーション法を開発したため報告する.