2022 年 71 巻 7 号 p. 213-217
アコースティックエミッション(AE)法を用いて腐食した鋼製ボルト締結体の破断強度を評価した.鋼製ボルト締結体に対して,NaCl水溶液を用いて異なる期間腐食促進試験を行い,試験中のAEモニタリング及び腐食試験後に引張試験を行った.腐食したボルト締結体の破断強度とAE信号の発生数に相関が見られた.次に,検出されたAE波形のパラメータと腐食状態の関連性を評価した結果,腐食が進展したボルトではガイド波L(0,1)モードの強度が強く現れ,周波数スペクトルのピーク値が低いAEが発生する傾向が見られた.また,腐食が進展したボルト締結体では,最大振幅値が大きなAEが多く検出された.すなわち,振幅や周波数などのパラメータからボルトの破断強度を推定できる可能性を示した.