2023 年 72 巻 5 号 p. 169-178
研削材を用いたウォータージェット処理(以下,AWT)の噴射距離が鋼素地の表面特性に及ぼす影響を検討するために,表面粗さ,金属組織層の硬さと塑性変形を測定・分析した.また,AWTした鋼素地の表面特性による腐食挙動を把握するため,電気化学測定を実施した.これらの結果から,AWTの噴射距離が減少するにしたがって,鋼素地の表面粗さ,金属組織層の硬さと塑性変形深さが増加することを示した.また,金属組織層の塑性変形が腐食特性に及ぼす影響は,鋼素地の表面粗さに比して大きいことを明らかにした.さらに,AWTの衝突エネルギーが増加するほど,金属表面層の結晶粒子径が減少し,耐食性が向上することを示した.