水使用設備において重要であるボイラ,蒸気・復水系の腐食防食について,初心者に理解しやすい内容で解説する.ボイラおよび蒸気使用設備の腐食原因を述べ,主要な防食技術を説明する.併せて適用する薬品については,できる限り反応がわかりやすいよう記載する.
ボイラ燃焼状態と燃焼ガス腐食性の関係性を明らかにし,燃焼制御により燃焼ガス腐食性を低減する防食運転を実現するため,ボイラ燃焼状態から燃焼ガス腐食性を機械学習により推定する腐食ソフトセンシング技術を開発した.重回帰分析と主成分分析に基づく機械学習モデルを構築した上で,廃棄物発電プラントにおいて記録したボイラ燃焼状態(運転データ)と,当社が開発した腐食センサにより測定したボイラ燃焼ガス腐食性により,モデルパラメータを決定した.RMSE,MAE,本論文において新たに定義した時系列データ向け決定係数を指標とする交差検証により,本機械学習モデルが高い汎化性能を有することを示した.
乾湿繰り返し環境におけるアルミニウムの腐食をモニタリングするため,2つの渦巻形状の電極からなるICMセンサを作成した.NaClを付着させたICMセンサに対し,乾湿繰り返し環境下でインピーダンス測定を行った.ICMセンサから得られた1 Hzのインピーダンスの逆数を積算した値は,RCMセンサから求めた腐食量と良い相関性が得られた.泥と融雪剤を混在した模擬試験より,ぬれ性が均一となり腐食持続性が得られた.
研削材を用いたウォータージェット処理(以下,AWT)の噴射距離が鋼素地の表面特性に及ぼす影響を検討するために,表面粗さ,金属組織層の硬さと塑性変形を測定・分析した.また,AWTした鋼素地の表面特性による腐食挙動を把握するため,電気化学測定を実施した.これらの結果から,AWTの噴射距離が減少するにしたがって,鋼素地の表面粗さ,金属組織層の硬さと塑性変形深さが増加することを示した.また,金属組織層の塑性変形が腐食特性に及ぼす影響は,鋼素地の表面粗さに比して大きいことを明らかにした.さらに,AWTの衝突エネルギーが増加するほど,金属表面層の結晶粒子径が減少し,耐食性が向上することを示した.