2004 年 53 巻 1 号 p. 38-43
金属材料のキャビテーションエロージョン, 特に潜伏期間における材料表面の挙動におけるコロージョンの影響が腐食環境中で調べられた. 予想通り, 黄銅の場合, 潜伏期間の長さは腐食環境中で短くなったが, 純銅でのその長さは長くなった. これは環境液中のイオンの吸着によって生じた引張力によるものと説明される. 潜伏期間の長さおよび損傷速度を予測する鍵となる潜伏期間における表面積増分率と試験時間の関係は時間軸に平行に移動したが, 試験に用いたそれぞれの材料では環境に依存しないで同じ形状を示した. キャビテーション下での各材料の分極曲線を測定し,キャビテーションの溶液攪拌作用によって腐食速度が上昇することが分かった. このように, ある材料のキャビテーションエロージョン・コロージョンの潜伏期間の長さはその材料の表面積増分率の測定によって決定することができ, 腐食速度はキャビテーション条件下で測定される分極曲線から推定できることが確認された.