亜酸化銅と酸化銅からなる銅酸化物皮膜をカソード還元したときに得られる電位-時間曲線は2つのプラトーを有するが, その帰属については2つの異なる解釈が存在し, カソード還元法を適用する場合の大きな課題であった. カソード還元小委員会では, 平成14年より銅酸化物皮膜のカソード還元における還元順序を明確にするために, 0.1M KCl中, 電流密度50μA/cm2の条件で大気中において腐食酸化した銅酸化物皮膜を複数社においてカソード還元するラウンドロビン実験により検討した. カソード還元前, 第1プラトー及び第2プラトー後の試料表面のXPS分析は, 上記のカソード還元条件では第1プラトーでは酸化銅の還元が, 第2プラトーでは亜酸化銅の還元が起こることを示唆した. また, 酸化銅/銅試料をカソード還元実験した結果, 酸化銅は銅まで還元されることを明らかにした.