2004 年 53 巻 10 号 p. 495-501
海水中でカソード分極された鋼材表面に生成する石灰質沈着膜の二重層構造を解析する新しい方法を提案した. その方法は沈着物中の間隙水が親水性の差に従って, それらの層に分配されるという仮定に基づいている. この仮定によって, 沈着物中の二重層に関する様々な構造因子が導かれた. この二重層構造を解析するための理論的モデルの正当性を検証するために, 定電流密度および定温度下で陰極周辺の海水の流動状態を変化させるか, または, 海水を希釈するかにより, 種々のCa/Mg比を有する石灰質沈着膜を作製した. これらの沈着物に上記のモデルを適用した結果, このモデルが二重層構造を解析するために有効であることが分かった.